博士課程修了
3月25日に京都市立芸術大学大学院の博士(後期)課程を修了いたしました。関わってくださった方々に、心よりお礼を申し上げます。
無事博士(音楽)の学位を取得できたことは、未だに夢なのではないか…と思うくらい、ここまで辿り着くまでは果てしなく長いトンネルに感じました。
膨大な先行研究が存在するシューベルトがテーマということで、入学前からその難しさは覚悟していたものの、はじめは何に絞って論文を書くべきか、とにかく悩みました。
以前からシューベルトの音楽の魅力として、神秘的に感じていた「反復」をテーマに絞ったのが、博士二年目。それでも、その反復の中でも何に焦点を置くべきか、まだ絞れずにいました。
そこで、まずはすべてのピアノ・ソナタを細部まで分析し、それぞれの主要な主題を、五線紙がなかったので、とりあえず白い紙にメモする作業を黙々と続けていました。たまたま当時取り組んでいた第17番D850を分析していたところ、メモしていた主題同士にリズム的な関連性を発見。このテーマならイケると確信しました。
そこから、先生のご指導を頂きながら、主題を更に細かく分け、「リズム・モティーフ」が反復、変形してゆくことで作品全体を密接に関連付けるさまを分析することを主たるテーマとして、論文を書き上げました。
(博士論文のタイトルは、「フランツ・シューベルトの後期ピアノ・ソナタにおける反復と変奏 ーリズム・モティーフの分析に基づく考察」です。)
不思議なことに、主に後期のピアノ・ソナタにその手法が集中していることから、第15番D840から第21番D960までを扱っています。
「リズム譜」を使用した分析によってこのテーマは成り立っているわけですが、それは当時たまたま白い紙に主題をメモしていたという偶然が招いた産物であり、感慨深いです。また、当時ハマっていた第17番D850が導いてくれた、ということも嬉しかったりします。
ここまでご指導頂いた先生方には心より感謝しています。
また論文だけでなく、毎年課せられたリサイタル。なかなかハードなものでしたが、どうにか乗り越えられたのは、いつもあたたかく、的確なご指導、アドバイスをくださった先生方と、演奏会に足を運んだり、応援くださった皆さまのお陰だと思っています。
最後に、シューベルトにも心からありがとうを言いたいです。博論のテーマが決まるまでの長い長い暗闇の時間、その現実から逃げる訳ではないけれど、研究の合間にシューベルトの全ジャンルの音源を聴き漁っていた時間が一番幸せだったかもしれません。あなたの音楽は、どんなときも私の心に深く、あたたかく響いていました。ただ純粋にシューベルトを心から愛する気持ちがなければ、ここまで辿り着くことはできなかったと思います。これからも、微力ながらシューベルトの魅力を発信していけたらいいなぁ。
そして最後の最後に、長く支えてくれた家族にも、ありがとう。
長文になってしまいましたが、これからも引き続き関西中心での音楽活動、後進の指導を続けていくつもりです。こんな私ですが、皆さま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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